プロジェクト物語04 重要な通信インフラの「足元」を固める、 アルミ二重床の開発。

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アルミで窓がつくれるなら、床もつくれるのでは?

「ほんとうに、ひょんなことから始まったプロジェクトでした」 技術グループの斉藤栄徳は、当時を振り返ってこう述懐する。
「某大手通信会社にアルミサッシを納入していた日軽金のグループ企業が、ある日、担当者から何気なく言われたんです。『窓をつくれるのなら、床もアルミでつくれるんじゃない?』と」 通信会社のIT装置群を収容している機械室は、建物の床にさらにスチール製の床を二重に設けてケーブル類を配線している。インテリジェントビルなどでも見られる、いわゆる「二重床」だ。もちろん、収容している設備が通信インフラを支えるきわめて重要なシステムであるため、強度や機能などで独自の性能が要求される。現行の二重床に用いられているパネルではスチールの重量によるケーブル破損などのリスクがあるため、これをアルミに変えて軽量化できないかというアイデアだったのだ。
 しかし、窓と床では、あまりにも要求される条件が違いすぎる。困惑したグループ企業は、日軽金に相談をもちかけ、それをアクトの斉藤が担当することになったのである。

「実際、単にパネルの材料をスチールからアルミに変えるだけでは、軽量化になってもコストアップになり、お客様にとってあまりメリットはないと思いました。そこで、パネルだけではなく二重床システム全体をアルミの特性を最大限引き出した設計にすることで、施工時間の短縮なども含めほとんどの性能を向上させながらもトータルでコストセーブする開発コンセプトを設定したんです」
 こうしてプロジェクトチームが発足し、二重床をすべてアルミにするための構造とアイテムの開発がスタート。第一回のプレゼンテーションに向けて準備が開始される。2001年8月のことだった。

お客様の想定を、はるかに超えていた提案。

IT装置収納室の設計を担当するお客様と、施工を担当するお客様へのプレゼンテーション当日。プロジェクトチームのスタッフは、入念に準備してきたプランを披露した。しかしながら、その反応は・・・。
「正直、だれもが戸惑っている様子でしたね」
お客様は、パネル部分のアルミ化という部分的な提案を期待していたのに、アクトの持参したプランは二重床すべてを入れ替えてしまうものだった。アクトとしてはアルミ化によるメリットを最大化するためのプランだったとはいえ、それを採用した場合に生じる膨大な評価・認証・ドキュメント類更新、施工会社への周知・教育など、新たに発生するであろう作業量への抵抗感が、お客様をまず困惑させたのである。
現状のスチール二重床でも大きな問題は発生していないのに、なぜわざわざ入れ替える必要があるのか。一部だけのアルミ化ではダメなのか。施工性や取り扱い容易性の改善はほんとうに実現するのか。コストアップになるのではないか。
さまざまな質疑が噴出するなかで、懸命に説明する斉藤たち。長時間の議論を経てアクトの熱意が通じたのか、オールアルミ化への魅力が少しずつ理解され、会場の雰囲気は徐々に肯定的となっていった。そして、ついに、新たにヒアリングされた仕様条件への対応や指摘された問題点の解決など「宿題をいただく」ことになる。
つまりアルミ二重床の開発は、前向きに継続されることとなったのである。

数多くの技術とアイデアを生みだした開発作業。

このプレゼンテーションから、お客様との共同開発契約が結ばれるまでには約一年もの長期間を要している。それは同時に、予想を遙かに上回る厳しい要求と水面下で戦い続けた期間でもあった。
震度7クラスの地震に耐える耐震性能、スチールに比べて50%の軽量化、従来と同等の拡張性や静電対策、電撃防止機能など、それでいてコストはスチール以下。表面上はプロジェクトに進展がないように見えても、数々のハードルを越えるべく開発作業が進められていたのだ。
「研究所の若手たちが中心になって、何度もブレーンストーミングを繰り返し、その成果から基本構造を詰めていきました」
スチール二重床で採用されていた4本足の"コタツ"を置くような架台方式ではなく、2本足で梁フレーム支えていくビーム方式の新開発。薄肉化と無駄肉取りによる、各パーツにおける限界までの軽量化。静電防止塗料を塗布する代わりに、アルミ表面に生じるアルマイトの薄膜に静電防止機能を持たせる技術の開発。通信機器による多大な発熱を冷却するための、エアフローを考慮した床下設計・・・。こうしたアルミ二重床のための技術開発によって、アクトは4件の基本特許を取得し、13件の意匠を登録(共同出願)している。
そして、2002年の共同開発契約からまたも1年後。2003年になって、アルミ二重床の販売はついに開始する。アクトの技術が結集した製品への評価はきわめて高く、2005年には日本を代表する大手通信会社のIT装置収納室で相次ぎ採用が決定された。

ビジネスの新たな柱として成長する第二世代。

コンクリート床への重量負荷を半減させるアルミ二重床は、地震などの災害時にも強さを発揮する。このことは、危機管理能力が問われる他分野でも活躍のチャンスがあることを意味する。二重床ビジネスでの技術とノウハウを蓄積したアクトは、2006年から新たな市場攻略も開始した。それはiDC(internet Data Center)である。
24時間365日、膨大なデータを扱うデータセンターは、そのセキュリティや防災体制に格段の高水準が要求される。そこで利用される二重床市場に、日本を代表する通信会社のインフラを支える技術と実績を武器として参入したのだ。サーバーのサイズや増設にも柔軟に対応できるフレキシブルな構造を採用した"第二世代"のアルミ二重床は、発売以来すでに二重床ビジネスの新たな柱へと成長。今後も、新築ビルのデータセンターなどをターゲットとして新製品が開発されている。
「当初は、異なる文化を持つ企業同士の共同開発ということで、意見調整にはかなり苦労しました。それでも、プロジェクトが成長していくに従って、お互いの理解も進んだ気がします。2006年に、このアルミ二重床が日本アルミニウム協会の開発賞を受賞したんですが、その賞金でちょっとしたパーティを開催したんですよ。ときには意見が衝突することもあったお客様方と心から打ち解けて喜びあえる光景に、このプロジェクトに参加できて良かったと思いましたね」

プロジェクトスタッフ・プロフィール

斉藤 栄徳Shigenori Saito

技術グループ
1980年入社|機械工学科卒

※所属部署は取材当時の物

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